いろいろと日本人にとってわかりにくい部分のある英語だが、
そのひとつはtheの使い方ではないだろうか。
a は不定冠詞、the は定冠詞と学校ではそう教えてくれる。
不定冠詞といわれても、定まらない冠詞ということで、
なんのことだかわからない。
定冠詞というのも、
定まったあるいは決まった冠詞ということだか、
依然謎は深いままである。
地球のようにひとつしかないものは the を使う、
テーブルのようにいくつでもありうるものは a をつけて表現する。
こんなふうに覚えるのが普通である。
この a は the の使い分けは、
可算名詞と不可算名詞の区分けと並んで、
日本人が苦手とするものである。
ではどうしたらいいだろうか。
①自分が判断して、「これだ!」という形で
特定したいものには the をつける。
②「あるひとつの」といって構わないものには a をつける。
このくらいのゆったりしたルールを
自分で決めておくのがいいのではないだろうか。
そんないい加減なことで通るのかと、
不安になることも多いと思う。
でも実際にネイティブがやっているのはそういうことなのである。
「イタリアの旅行、あれは実に忘れられない思い出になりましたね」
こういう文章をいうとき、the と a はどうつければ正解か。
実はこの文章を英語にした時の正解は、
かなりたくさんあるのである。
A trip we took to Italy became a truly unforgettable memory.
これでもいいだろうし,
The trip we took to Italy is indeed something that we would never forget.
といっても問題はない。
はじめの英文では a trip とし、
次のものでは the trip と始まっている。
なぜだろうか。
はじめの a trip のほうは、この旅行のことは
初めて聞く人を相手に話をしている感じがする。
The trip のほうは、いっしょに旅行した人に向かって
「あの旅行は、本当によかったね」と回顧している感じがする。
少なくとも、そのイタリア旅行のことを
知っている人に向かって話している。
そういう状況である。
そのあたりのニュアンスは、
話し手が聞き手と自分のトピックの関係を
どう認識しているかによって決まるのである。
さらにいえば、自分が
「どうそのトピックを相手に認識してもらいたいか」
を示しているのである。
この場合の a trip といえば、
相手はどの旅行のことがすぐに考える。
なぜなら話し手が the という以上、
聞き手である自分が知識を持っていることを
期待されていると認識するからである。
たぶん相手が言おうとしている旅行はこのことだろうと、
聞き手は判断する。
もしはっきりわからないようなら、聞き手が
which one?「どれのこと?」
と必ず質問してくるはずである。
カテゴリ:初級英会話