焦点を少しぼかしたい時には、遠回しな表現を使う。
これは日本語でも英語でも同じである。
実際、いま話しをしている人に向かって、
あまり喜びそうもないことを伝えなければいけない時などには、
十分注意しなくてはいけない。
「あなたは責任感が足りない」
などと言わなくてはならないときに、
I think you'd better have a storonger sense of responsibility.
「もう少し責任感を持った方がいいと思いますよ」
というのも一つの方法である。
でもこれだと相当強いインパクトを相手に与えることになる。
立場の違いによっては、その人との関係に相当な影響を与える。
そこで実質的には同じことをもう少し柔らかく、
主体をぼかしながら言うには、
theyに登場してもらうのが一番である。
あえて訳せば「彼ら」ということだが、
日本語で「みんな、景気が悪いと言ってるよ」などという時の
「みんな」に近いと考えていいだろう。
ネイティブ同士の英会話では、
この場合のtheyはなんの注意も引かない。
They say you'd better have a stronger sense of responsibility.
あるいは、
They have a problem with your sense of responsibility.
こう言えば、I thinkで始めるときの強いニュアンスが消え、
ずっと柔らかい感じになる。
they sayには、こういう具合に
とても婉曲にものを言えるという特徴がある。
逆にいえば、本当はあなた1人の意見という場合でも、
まずthey sayと切り出してみることだってできるのである。
theyのなかに、あなた自身を入れてしまう感覚である。
自分もその中に入った they say を使えるようになると、
主体をぼかして、キツイ事が言えるようになる。
上司や担任の先生から理不尽な要求をしてきたとき、
一人称である I を使って反論しようとすると角が立つ。
I don't think it's a realistic idea.
「それは現実的なアイディアだとは思えません」
こうストレートに言うのは、ある意味で立派かもしれないが、
ときには思わぬ問題を引き起こす。
そこで、theyの登場である。
They say it's a realistic idea.
こう言えば、誰が言っているかがぼやけて、
そう言われた方もあまり腹が立たない。
親に対して言いにくいことも、
theyを使えばだいぶ気楽に言うことができる。
They say most parents admit that their children should not spend too much time to make money for living.
「ほとんどの親は、子どもたちが生活費を稼ぐために、
あまり時間を使うべきではないと認めているそうだよ」
おそらく大学生で、
生活費を親にもっと援助してもらいたいのだろう。
I thinkとか、It is admitted by most parents
などと回りくどいことを言わなくても、
スピーディに自分の言いたい事を親に言うことができる。
逆の立場で、子どもに説教しなくてはいけなくなった親も、
theyを活用することができる。
Teens need to be very careful about having sex,they say.
「十代のうちは、セックスには
十分注意しなくてはいけないといわれてるんだよ」
いずれも本当は、自分が言いたいことをちょっと距離をおいて
「世間ではそう言われてるよ」という感じで、
theyを使っていうケースである。
このちょっとした違いで、
物事はずいぶんと楽に言えるようになるのである。
カテゴリ:初級英会話